2006年03月20日 12:16
〈 沖縄を始め各地で,米軍再編・強化反対を掲げた反基地運動を展開〉
沖縄・米軍普天間基地の返還問題をめぐり,沖縄県内の共産党や過激派などは,反基地団体による「基地の即時返還・県内移設反対」を掲げた基地包囲行動や反基地集会に積極的に参加した。
また,同基地代替施設の建設予定地である名護市辺野古では,海底ボーリング調査の開始を警戒し,地元の反対派住民と座込み監視行動に継続して取り組むとともに,辺野古海域に設置された調査作業用の足場を占拠し,小型船による海上パトロール行動を連日にわたり実施した。こうした一連の反対運動に対し,本土の過激派などは,沖縄現地に活動家を派遣したり,活動資金調達のカンパ活動に取り組むなどして支援した。
〈 MDSは,イラク民主化勢力支援や「無防備地区宣言」運動を通じて,市民を結集〉
社会主義社会の実現を標榜する「民主主義的社会主義運動」(MDS)は,イラクの「民主化勢力」代表を招いて反戦集会を開催するなど,独自の存在感を示した。特に,MDSが進めるイラク反戦運動では,市民層の結集を図る受け皿として,各地に「イラク市民レジスタンス連帯委員会」を立ち上げ,イラク市民の戦争被害などを紹介する各種イベントを実施して,同連帯委員会の会員拡大に努めた。
また,MDSは,政府の有事体制づくりに反対する運動として,ジュネーヴ諸条約追加議定書を根拠に,「無防備地区宣言」条例の制定運動に取り組み,東京・荒川区など8自治体の住民らで運動体を組織し,それぞれ条例制定の直接請求に必要な法定数を超える署名を集めた。さらに,MDSは,各地の運動体で構成する全国ネットワークが,著名人らを呼び掛け人として運動推進を呼び掛ける「1,000人アピール」への賛同人集約や学習会に取り組むなど運動の伝播に努める中,運動に協力した市民に,傘下団体の集会への参加を呼び掛けたり,機関紙の購読や組織への加盟を働き掛けた。 MDSは,今後も,イラク「民主化勢力」への支援運動と「無防備地区宣言」運動を活動の柱に据え,市民の結集に努めていくものとみられる。
〈 中核派は,傘下大衆団体を隠れ蓑に,労働組合などへの浸透を強化〉
中核派は,労働運動を重視する「新指導路線」(平成15年提起)に基づき,労働戦線における勢力拡大の取組に全力を傾注した。特に,教員への浸透を「教労決戦」と称して,高校などの卒業・入学式の国歌斉唱,国旗掲揚時の起立問題に揺れる教員に対し,東京を始め大阪,広島などで,出勤時に「日の丸・君が代強制拒否」を訴えるビラを配布した。さらに,同派の大衆団体「とめよう戦争への道!百万人署名運動」のメンバーらを動員し,教職員組合事務所を個別に訪問させるなど,オルグ活動を繰り広げた。また,「新しい歴史教科書をつくる会」編纂の教科書が文部科学省の検定に合格したのを受け,これに反発する教職員組合や市民団体に対し,中核派系大衆団体を前面に立て共同行動を呼び掛けるなどして,自治体に不採択を求める署名運動や要請行動などに取り組む中で,教員や市民を同派主導の学習会に招いたり,採択阻止の集会に参加させるなどして取り込みを図った。こうした結果,“全党総決起の場”として,11月に開催した恒例の「全国労働者総決起集会」(東京都内)には,過去最高の約2,700人(平成16年は約2,350人)の参加者を集めた。また,同集会には,韓国・全国民主労働組合総連盟や米国・国際港湾倉庫労働組合から代表団を招き,「労働者の国際連帯」を内外に強くアピールした。
中核派は,平成18年も,機関紙「前進」に年頭の「革命軍アピール」を掲載し,武装闘争路線を堅持しながら,当面,組織拡大に向けた取組を継続・強化していくものとみられる。
〈 解放派や革マル派は,労働者や市民団体への浸透に努める〉
革労協解放派の主流派と反主流派は,それぞれ,東京,福岡などのいわゆる「寄せ場」で,日雇い労働者などを対象に,炊き出しなどの生活支援や労働条件の改善を求める行政機関への要請行動などに取り組み,組織のすそ野の拡大に努めた。
また,革マル派は,基幹産業労組への影響力の拡大に取り組むとともに,反改憲運動を通じて市民層への浸透に努めた。これに対して共産党は,「しんぶん赤旗」で,革マル派が反改憲運動に入り込んでいるとした上で,「市民団体を装って憲法運動に接近する革マル派の狙いは,民主的な運動のかく乱・破壊である」などと指摘した。
新左翼セクト「MDS」(民主主義的社会主義運動)とは何者なのか。
「MDS」は平成十二年八月までは「現代政治研究会」を名乗っていた。その前身は「民主主義学生同盟」(民学同)である。
「MDS」綱領(平成十二年八月)は次のように述べている。
「我々の変革の目標は民主主義的社会主義である」。「民主主義的社会主義とは生産手段の真の意味での社会的所有を実現することである」。「マルクスのいう『各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件であるような一つの協同社会』を実現することである」
明言されているように、彼らは未だにマルキストであり社会主義者である。
(どういう訳か、「MDS」ホームページではこの綱領が隠されている)
敵国の攻撃に対する、スイスの回避策 / 「民間防衛」P235より引用
世界とともに平和に生きることを欲しないスイス人があろうか。戦争を非としないスイス人がいるだろうか。われわれが軍隊を国境に置いているのは、他の国がわれわれを平和に生きさせておいてくれるためである。
人類の幸福は、われわれにとって重要なことだ。われわれは力の及ぶ限りそれに貢献している。たとえば赤十字の活動、開発途上国に対する援助、戦争状態にある国の利益代表など。ところが、現実はこのとおりである。
それを知らないとしたら、われわれは、お人好しであり、軽率だということになるだろう。われわれを取り囲む国々が武装し続ける限り、われわれは国家の防衛を怠ることはできない。
ヨーロッパで対立する交戦国によるスイス攻撃の可能性を、われわれは、最近の二つの大戦の経験にかんがみて、よく考えなくてはならない。
潜在的は敵を仮定--その宣伝文句に基づいて判断することは、たとえその宣伝文の中に、聖書の文句が引用されていようとも、できないことだ。われわれは、にせ平和主義者たちが、武装するのをやめないでいることを確認している。われわれの信念は誠実なものである。われわれは、だれ一人殺そうとするつもりはないが、ただ正当防衛を確保しなければならぬ。
われわれが武器を使用せざるをえないようなことがないように!われわれは、これ以上に真摯な願いを持たない。
スイス政府「民間防衛」に学ぶ - 敵はわれわれの抵抗意志を挫こうとする / 警戒しよう -