2007年04月20日
沖縄県のアセスは落第だ
新石垣空港 沖縄県のアセスは落第だ
沖縄県石垣島で新空港の計画が発表されて26年、環境破壊の恐れから建設地は二転三転した。ようやく提出された沖縄県の環境影響評価(アセスメント)に対し、小池環境相は追加調査を求める意見をまとめた。
絶滅の恐れのあるコウモリのほか、貴重なサンゴ礁を守れるかどうか不安がぬぐえないというのである。
県のアセスは、検討や調査が尽くされておらず、十分な判断ができない。そう厳しく指摘された沖縄県は重く受け止めるべきだ。
白保地区を埋め立てる最初の案は、「貴重なサンゴ礁を守れ」という国際的にも広がった反対運動でついえた。曲折の末、白保から北に1キロ余りの海岸のそばに決まったのは00年4月だ。周りには国の特別天然記念物のカンムリワシなど225種にのぼる希少種が生息する。
1500メートルの滑走路の現空港に対し、新空港は2千メートルになる。新空港を観光と地域振興の核にしたい、という島民の悲願ともいえる思いはよくわかる。
しかし、県が着工を急ぐあまり、アセスをぞんざいにしたとすれば、とんでもないことだ。
指摘された問題点の一つは、空港予定地とその周辺の洞穴に生息する3種の希少コウモリの生息調査だ。
県は五つの洞穴について調査した。だが、このほかに三つの洞穴がアセスの地図に載っているのに、生息状況などの調査結果がなかった。その洞穴の一つは滑走路にかかっている。
空港建設でこわされる洞穴があっても、ほかの洞穴や人工洞穴で補える。県はそう主張したが、環境相はコウモリがこれまで通り生息地として使えるようにすべきだと求めた。
新空港に近い海には、北半球で最大級というアオサンゴ群落など豊かなサンゴ礁の生態系が広がる。土木工事で地表の赤土が海に流れ出し、サンゴ礁を傷つけるのではないかと心配されていた。
沖縄県は「赤土を含んだ雨水は地中に浸透させるので、海や河川に流れ出さない」と主張した。しかし、この手法が機能するかどうかを判断するためにはデータが不足している、と環境相は指摘した。サンゴ礁を傷つけないというなら、それに足る材料を示さねばならない。
環境相の意見は県に多くの注文をつけつつ、「できる限り」という表現も目立った。生態系が大きく壊されると考えるなら、新空港の建設地を変えることを求めるぐらいの意気込みがほしかった。
とはいえ、調査が不十分として、追加の調査を求めるのは異例のことだ。
「落第点」をつけられた沖縄県は、今度こそ手を抜かないで、環境を守る姿勢を見せてもらいたい。
4月20日は珊瑚記念日
Posted by vocka at 18:48│Comments(0)
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